キングの餌食になりまして。
たしかに器用ではないかもしれない。だけどそれを仕事以外の部分で貴方にとやかく言われたくはないものだ。
「俺が教えてあげてもいいんだよ」
「……なにを」
「口の利き方から――男の悦ばせ方まで」
――!
「……っ、」
押し付けられた唇。
あたしは力いっぱいに顔を背け、すぐにそれは離れた。
「どこでも拾えるイシコロを。磨きに磨いて光り輝く宝石にしてあげようか」
「なにいって……ん、」
角度を変えて何度も重ねられ、今度は頭を摑まれていて逃げられない。
「あけてよ、口」
強引なキスが、深く甘いキスへと変わる――。
二人だけの部屋に響くリップ音。どうにかなってしまいそう。
「ねえ、実知留ちゃん」
性悪キング相手なのに身体は熱く火照っている。鼓動だって速い。あたし、どうかしてる。
せめてもの抵抗で、出来る限りの平静を保った。
「少しは反応してよ。つまんないから」
「……です」
「なに? 聞こえない」
「……クビで、いいです……」