キングの餌食になりまして。



 どうしてそんなに平然と話ができるんですか。


 わたしだけこんなに挙動不審になってるのも。

 それを必死に抑えるのも。


 本当に、嫌なんですけど……。


「……っ、物好きですよね。平民以下の『イシコロ』であるあたしに、キングが手を出すなんて。『宝石にする』? なんのボランティアですか。暇なんですか?」

「それじゃ、実知留ちゃん。最後に言い残したことがあればどうぞ」


 ハッとしてキングを見る。


 なんて、冷たい表情なんだろう。


 やばいやばいやばい。

 いつものクセで。

 我慢できずになんでも言う性格を、ここにきて発揮してしまった。


 いくらなんでもキング相手に言いすぎだ。

 さすがに……マズ……イ……。


「それじゃ。そのクレームに対応しよう」


(……!?)


 てっきりご機嫌ナナメになったとばかり思ったキングが。


「スイートに移動しない?」


 にっこりと、微笑んだ。

< 26 / 112 >

この作品をシェア

pagetop