キングの餌食になりまして。



「……キングがそんなことを言うなんて意外です」

「そう?」


 常識の通じないキングが吐いた台詞とは思えない。

 もちろん本心からの言葉だとは限らないが。


 心からそう思っているとしたら、ほんのちょっとだけ見直したかも……。


 って、ちょっと待て。


「どうしてまだ服を脱がそうとしてるんですか……」


 前言撤回。ただのヘンタイだこのひと。


「フロントホックはエロすぎるよ実知留ちゃん」

「見ないでください。手をどけてください。離れてください」

「嫌だって言ったら?」

「クビでいいって言ってるじゃないですか」

「うん。たった今、ここで君を解雇にするね」


 ノリ軽くない!!?


「話が違うじゃないですか」

「なんの?」

「とぼけないで下さい。あたしは、貴方の言いなりになりたくないから退職を希望したのに」

「いつ俺から離れていいって言った?」

「……え……?」

「パット詐欺じゃなかった」


 下着の中に指を入れてくる。


「っ、当たり前です……」

「当たり前じゃないよ? 女の子ってさ、整形級のメイクするから。ブスが頑張ってどうするのかなぁ」

「失礼なこと言わないで」

「うん。今のは失礼だ。撤回するよ。ごめん」


(……え?)


「可愛くなりたいとか綺麗になりたいとか。少しでもよく見られたいとか。好きな人に……愛してもらいたいと想えるのって素敵なことだよね」
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