キングの餌食になりまして。
――な、なんでこんなことに……。
成り行きで着替えてしまった。
バスローブにっ……。
ここに泊まる気満々みたいじゃん!?
いやあたしは、キングが戻る前には消えたいんだけど……。
こんな格好で待機していたら、あの男なら『ほう。そんなに俺に抱かれたいのか』なんて見当違いなことを言いかねない。
片眉をあげ不敵に笑う悪魔みたいな顔が容易に想像ができる。
……考えただけで鳥肌が立った。
(せっかく支配人といるのに。あんな男のこと考えるのはやめやめ!)
洗面所から支配人の元に戻り、食事を続けた。
「ごちそうさまでした……!」
「ごちそうさまでした。私、この服を乾燥機にかけてきますね」
濡れてしまったあたしのズボンを手に取る支配人。
「だったらあたしが……!!」
支配人の手を煩わせるわけにはいかない。
「そんな格好でウロウロする気ですか?」
「っ、それは……」
さすがに……できません、ね。
「今は、お客様なんですから。ゆっくりされていいんですよ?」
そうは言われても、元々バリバリ働くつもりだった時間帯にこんなに優雅にご飯を食べていてはバチがあたってしまいそうだ。
それとも神様があたしにくれた束の間の休息なのかな。だとしたら細かいことは置いておいて、この状況を楽しむのもありだと思えてきたが、あとが怖い。