キングの餌食になりまして。
すると、彼は身を起こしこう言った。
「扱えないから困ってるんだよ?」
「はい?」
「実知留ちゃんだけは、いち従業員として見れない」
そんな甘い言葉で何人の女を落としてきましたか。
「君さえ望めば、私のたった一人のプリンセスにしてあげるのになぁ?」
――京極奏の言葉を鵜呑みにしてはいけない。
輝く亜麻色の髪。日本人離れのくっきりした目鼻ち。
瞳も唇も、肌だって。透明感ありすぎです。
メンテナンス行き届きすぎやしませんか幾らお金かけてるんですか……?
それともなにもしなくても美を保てているのですか?
皆が彼の虜になる理由なんて十二分にわかる。ひと目みれば「あ、超絶イケメン」と気づかないわけがない。
それでもあたしは彼と必要以上に近づかないでおこうと思う。
……甘い誘いは罠なんだから。
「失礼致します」
会釈すると、部屋から出てそっと扉を閉めた――。