キングの餌食になりまして。


「ありがとう、実知留。俺を選んでくれて」


 そっと抱きしめ、キスをされる。

 やがて唇はだんだん下へとおり――首筋に、優しく口づけをされた。


 すごく、慣れてるみたい。
 そりゃあカッコイイし……モテないわけないし。

 大人だし。

 経験豊富なんだろうな……って。あの。

 止まる気配がない。
 むしろ、エスカレートする一方で。

 とても反応に困るのですがっ……。


「あ……えっと……」

「ホントにしちゃおうか。さっきのハナシ」

「えぇっ……」

「だめ?」


(それって……つまり、そのベッドで愛し合うってことですか?)


「律さん、お仕事……戻らないと」

「かまわないよ。少しくらいなら」

「で……も、」


 くすぐったい。


「いい反応するじゃないか」


 これまで感じたことのない感覚に陥り、立っているのがやっとだ。


「そんなに俺が好きか?」

「……好き、です……」


 言葉が途切れる。

 かわりに我慢したいのに自分でないみたいな声がでてしまう。


 ドキドキは最高潮に。

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