キングの餌食になりまして。
「知ってどうする」
「どうも……できない……けど」
京極さんが、わからない。
あのひとはなにを考えてるの?
「……いいだろう。教えてやる」
支配人がポケットから取り出した携帯灰皿にタバコを押し付ける。
「ただし。奏の前に二度と姿を現せないように、お前のことめちゃくちゃにしてからな」
腕を引かれ向かった先は――ベッド。
「やめ……」
押し倒し、覆いかぶさり、あたしの口を手で塞いでくる。
「いいか。大きな声だすなよ。お前の『恩人』に迷惑かけたくなければ」
離して。いやだ。こんなの……!!
「あなたのこと信じてたのに、」
「信じてたなんて――都合のいい言葉で、お前の理想を俺に押し付けるな」
ひとを信じちゃいけないの?
「これに懲りたら他人のことは簡単に信用しないことだ。この世界にはお前の知らない汚れたものがたくさんあるってこと、身を持って教えてやる」
見えていたのは、キラキラした世界でもなんでもなかった。
初めてこのホテルに足を踏み入れたとき。
ここも。ここにいる人たちも。
みんながみんな、輝いて見えたのに。
全部幻想だったのかな――。