キングの餌食になりまして。


 

 力で敵うはずがなく。

 騒ぎを起こせないあたしに残されたのは。


 ここで、支配人に犯され捨てられる選択だけ。



 ああ、ほんと、人生ってろくなことない――。



 ガチャッ



(今の……音っ……)



「――ほんと……手のかかる子だねぇ君は」


 目の前の支配人が吹っ飛んで。


 次の瞬間――温かいものに、包み込まれた。


「京極……さん?」

「やぁ、実知留ちゃん」


 どうして……。


「怖かったろ。もう大丈夫」


 どうして、戻ってきてくれたの?


「あたし……ずっと、あなたに失礼な態度とってました。ごめんなさい」


 あなたは……

 あなたが、あたしを支えてくれていたんですね?


「どうしたの。そんなに素直な実知留ちゃんも珍しいね?」

「っ、短い間でしたが。本当に、ありがとうございました」

「お別れの挨拶なんてしないで。泣いちゃうよ?」

「……でも、」

「サヨナラなんて言わせないよ。俺がキミを、世界一幸せなプリンセスにしてあげる」

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