キングの餌食になりまして。
壁一面の大きな窓からパノラマ写真のごとく都会が一望できる。チカチカと輝いている街の明かりを見て、今が夜中だっていう気がしない。
たった一泊滞在するための宿泊料金があたしの何ヶ月分の家賃に相当するか考えると……ぞっとする。
そう、ここは有名ホテルのスイートルーム。
もちろんホテル王である京極奏の保有するホテルなのだが。
そのキングと平凡女子の私が、今夜泊まることになった。なんとも胸をときめかせずにはいられないシチュエーションである。
ただ、ひとつ――。
「ほら、見てごらん。私たちのために世界が輝いているね?」
「そのキャラやめませんか。……キモいです」
隣にいるキングが残念、ということを除けば。