キングの餌食になりまして。



「なんてね」


――グイっと、腕を引かれ隣に座らされる。


「お待たせ、姫」

「は……?」

「いい子に待てた可愛い姫には、褒美をやらないとね?」


 綺麗な顔で覗き込んでくると、次の瞬間には唇が重ねられた。



――数時間前。



 支配人を残し部屋を出て、京極さんに連れて来られたのが、このスイートルームだった。


 京極さんと話したいことが山ほどあった。

 聞きたいことだって。

 たとえば、どうして雇ってくれたの……とか。


 そんなあたしを残して京極さんは仕事に向かった。

 そのとき、


『今度こそ……いい子に待てるだろう?』


 そう言われ、ここで一人京極さんの帰りを待った。


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