キングの餌食になりまして。


 突然現れた京極さんに、口をあんぐり開ける中原美香。

 いつからそこにいたかは定かではないが、少なくとも猫かぶりが京極さんにバレてしまったという絶望感からなにも言えない様子だ。ご愁傷様。


「借金あるの? 実知留ちゃん」


 余計なことを知られてしまった。


「京極さんには関係ありません」

「私の財産が欲しいかい?」

「……はい?」


 なにを真に受けてるの?


「失礼しま――」「いくらなの」


 さっさと仕事に戻ろうとしたのだけれど、手首を掴まれてしまった。


「借金。いくらなの?」


 答えないと離してくれないらしい。


「……2000万」


 自分で言っていて反吐が出そうだ。


「立替えてあげようか……と言いたいところだけど」


 けど?


「全額返済してあげよう。この私が」


――は?


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