キングの餌食になりまして。
京極さんが、頭を抱えている。
そんな背中を見ていられず起き上がり京極さんの隣へいくと、肩を抱き寄せられた。
大きな身体にもたれかかると、この手にさっき力強く掴まれていたとは思えないくらい優しく頭を撫でられる。
「……さっきの京極さん、ケモノみたいでしたよ?」
「男はみんなケモノさ」
「開き直らないでくださいよ……」
「君といると、あっという間に理性が飛んでしまうよ」
それは喜んでいいことなのだろうか。
「……お酒のせいでムラッとしてがっつかれるのは、ちょっと嫌です」
ムードもなにもないというか。
「まだそんなこと言うんだ?」
「……?」
「実知留ちゃんの素肌に触れたくなるのも。何度もキスしたくなるのも。ただ、欲望のままにそうしたとでも思ってる?」
「……違うんですか?」
「手間かけて何度もこのホテルに立ち寄ったり。考えなきゃいけないことも、やるべきことも山積みなのに君を呼びつけたりしたのどうしてだと思う?」
「……!!」
「身体目当てなら、とっくに口説き落として抱いてると思わない? 猫かぶって好かれる努力だけして。そもそも君にこだわる理由がない。手っ取り早く抜きたいだけならいくらでも相手はいるんだ」
「は……!?」
「君がいい。君じゃなきゃ意味がない。こうして隣にいて欲しいのは。抱きしめたいのは。外でもない君だから」