キングの餌食になりまして。


 京極さんのストレートすぎる言葉があたしの胸に次々と突き刺さる。


「重いんだ。自分でも……君への想いが」

「京極さんっ……」

「離れないで」


 肩にまわされていた手は腰にまわされ、抱きしめる力が強まる。


「……俺だけ、見てて」

「一緒に行ってもいいんですか?」

「俺が君を置いていきたいわけないだろ」


 ほんとに……?

 あたし、あなたの傍にいてもいいの?


「だけど、連れて行っていいのかな」


 京極さんは、迷ってる。

 あたしを連れて行きたいのにすごく迷ってる……。
 
 一体どうして……?


「大学生活をやり直すことだってできるよ」

「!」

「もう一度入りたいなら俺が通わせてあげる」


 そんなことを考えてくれていたの……?


「俺が君を縛っていいのか、わからないんだ。大人として今しかできないことさせてあげなくていいのかってね」


 あたしのこと、そこまで考えてくれてるの?


「一緒に行きます」

「……!」

「あなたの傍にいたいです」


 『離れないで』なんて言われたら、残るなんて選択、もうできないよ。

 流されてるわけじゃない。あたしが、この人と、1秒でも長く一緒にいたいと思ってる。


 他になにもいらない。

 京極さんが、欲しい――。

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