キングの餌食になりまして。



「まだまだ修行の足りない不束者ですが。よろしくお願いします」


 なんかこれ、お嫁に行くみたい。

 いや……“みたい”じゃなくて、いくんだよね。


 あたし、この人の、お嫁さんになるんだ……。


 顔をあげた京極さんは――。


「実知留」


今度はとても苦しそうな顔をしていた。



「実知留」


 あたしを呼ぶ声は、とてもか細い――。


「ごめん」


(どうしたの……?)


 なぜか、とてつもなく胸騒ぎがした。

 これから放たれる言葉に強い衝撃を受けるとおもえてならなかった。


「京極さん……?」

「俺は、君を見捨てようとした」


――え……?



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