キングの餌食になりまして。
ミステヨウトシタ……?
なにを言われているかわからない。
「俺は律の目論みに気づいていたと言ったよね」
「……はい」
支配人に襲われそうになったときに聞いた。
京極さんは、支配人が京極さんとあたしを引き離そうとしていたことを見破っていた。
「君が俺を拒絶したとき。物凄く苛立ちを覚えた」
「……!!」
【そっか。律を選ぶんだね。……俺でなく】
――あのとき、京極さんは、哀しげにみえた。
寂しそうだった。
泣きそうだった。
だけど、同じくらい……。
いや。もしかしたらそれ以上に。
あたしに、怒ってたんだっ……。
「君の綺麗な心が好きだ。バカ正直でクソ真面目なところも」
「バカとかクソとか……酷いですよ」
「酷いのは君だろ」
「……え?」
「俺以外の男を選んだ」
「……!」
「だから俺は、律につられてやった」
こんな話は聞きたくないという本音と。
聞いておかなければならないという罪悪感が、入り交じる。
「俺はね、実知留。聞こえのいい言葉を無責任に投げかけて、逃げたんだ」