キングの餌食になりまして。
「伝えたいことはたくさんある。実知留の話だって、いっぱい聞いてあげたい。なんなら夜通し、腕枕でもしながら」
「うん」
「だけど、今は――」
ゆっくりとベッドに押し倒される。
「今だけは、自分を抑えられそうにない」
不器用だけど大きな愛を向けられて、あたしが一緒にいたいのは紛れもなく彼なのだと思い知った。
あたしが欲しいですかって。
聞かなくても。返事されなくてもわかる。
欲しがる顔、してるから。
京極さんがあたしを求めてる……。
「……っ、抑えなくていいよ」
――もう、迷わない。
間違えない。見失わない。
大好きな人のこと。
大きな手が伸びてきて、はらりとバスローブがめくられる。
「実知留、綺麗」
そう言ってあたしを見下ろすあなたが美しい。
「……あんまり、見ないでください」
「だめ。全部見せて」
唇と、唇。
素肌と素肌が、重なる――。
「京極さんっ……」
「名前で呼んでよ。君も“京極さん”になるんだから」
――京極実知留……。
「……なんか、カッコイイですね。あたしの名前に京極って名字がつくと」
「そうだね」
「……奏さん」
「もっと呼んで」
「かなで、さん」
「実知留」
名前を呼ぶたびに
名前を呼ばれるたびに
“好き”が、増していく――。
「君を俺にちょうだい」