溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
…仕事が終わったのは午後11時。

もう、ルカは帰ったに違いない。

私はメールだけすることにした。

『仕事終わりました。今日は、自転車で帰ります』

すると、間もなくして、ルカから着信。

「…もしもし」
「…今から会社を出るから、待ってて」

「…え、あ、ルカさ」

無情にも、電話は切れてしまった。

…それから、数分後、本当にルカが迎えに来た。

「…さぁ、乗って」
「…でも…」

「…美々」

私は観念してそれに乗ろうとした。

…が、誰かに止められて、私は顔をそちらに向けた。

「…ルイさん」
「…美々、おいで」

私を止めたのはルイ。

…私はハッとした。

二人の顔があまりにも似ていて。

だから、何度も二人を見比べた。

「…ルイ、その手を離せ」
「…離さない。美々は、ルカには渡さない」

そう言い捨てると、私の手を引っ張って、無理やり自分の車に押し込んだ。

何がなんだかわからない私は、ただただルイの顔を見つめる。

怒ってるような顔で、ハンドルを握るルイに、言葉をかけられない。

着いたのは。

「…ここは」
「…付いてきて」

それだけ言うと、私をその家の中に。




その家は、私の実家の直ぐとなり。

ルカが入ろうとしていたあの家だった。
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