溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
着替えると、束ねた髪をおろし、おずおずと厨房に顔だけを出す。

すると、シェフが私に気づくなり、コイコイと手招き。

なかなかでない私をヤキモキしながらまっているので、仕方なく全身を見せると、シェフは一瞬目を見開き、次の瞬間には満面の笑みになっていた。

「…綺麗だよ。馬子にも衣装」
「…ぅ、シェフ!」

真っ赤な顔で言い返せば、シェフはクスクスと笑って続けた。

「…ほら、もうお客様が来られる時間だよ。出迎えて」
「…こ、この格好でですか?!」

「…当たり前だろ」

「…シェ カランカラン…

ドアが開く音に、私は慌てて厨房から出ると、お客様を出迎えた。

「…いらっしゃいませ…ぁれ、1名様、ですか?」

客は二人だと聞いていたのに。

「…とりあえず、中に入っても?」
「…あ、すみません、こちらへどうぞ」

用意された席の椅子を引くが、お客様は座ってくれず、困惑する。

それどころか、反対側に回り、椅子を引いて、私に座るよう促す。

「…ぇ、いや、私は」

拒否するも。

「…一人で誕生日を迎えろと?」
「…え?!いや、「…ほら、早く座って美々ちゃん」

「…な、何で私の名前を」
「…シェフの友人だよ?それくらいは」

…その言葉に納得する
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