溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
病み上がりのせいか、ちょっと動いただけで疲れてしまう。

片付けを済ませると、お風呂に入り、楓が作り置きしてくれた料理を温めて、手を合わせて、有り難く頂く。

「…美味しい~。何でもできるのに、完璧な楓さんに、彼女の一人もいないなんて、不思議」

言葉に出すと、尚更疑問が浮かんだが、それ以上考えないことにした。

夕飯が終わると、食器を洗って、歯磨きをして、力尽きたようにベッドに寝転んだ。

「…ふぅ、今日は、疲れた…明日から、仕事だし、早めに寝よう」

独り言を呟くと、ベッドに潜り込んだ。

その時だった。インターホンが鳴ったのは。

只今の時刻、午後9時前。

私はこんな時間に誰だと思いつつ、ベッドから抜け出すと、カーディガンを羽織って、鍵をあけ、ドアを静かに開けた。

「…ルイさん?」

目が合った途端、ルイは私を抱き寄せた。

どぎまぎしつつ、ルイに問う。

「…どうしたんですか、こんな時間に?」
「…メールも、電話もしてたのに、熱があるなんて一言も聞いてない」

「…」

聞いてない…うん、言ってないもの。

心配かけたくなかったし。

「…美々」

少し怒ったようなルイの顔。

私は眉を下げ、何て言えばいいか言葉に詰まる。

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