溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
「…独りで、ずっと我慢してたの?」

ルイの言葉に、首をふる。

「…誰か付き添ってくれていたの?」

その言葉に頷くと、ルイは少し驚いた顔をした。

「…誰?」
「…三枝楓さん…パーティーの時、お手伝いしてくださったパティシエさんです」

「…三枝さんは、美々の何?」

…何?と言われても。

「…えっと…父の弟子で、私の大きいお兄ちゃんみたいな人ですかね?」

「…その人には頼れて、私には頼れないと?」
「…いや、そういう訳じゃ…ただ、ルイさんに心配かけたくなくて…っい!」

い、イタイ、イタイ!

ルイが私の両頬を掴んだ。

「…美々は何にもわかってない。私にとってどんなに美々が、大事な存在なのか」

「…ふいひゃん」

名前がおかしな言い方になって、赤面する私を、ルイは困ったような顔をして、次にはクスクスと笑って、頬から手を離した。

そして今度は優しく頬を包み込む。

「…ゴメン、ただのヤキモチ。三枝さんがいてくれて、良かったんだ。仕事が忙しくて、会社に缶詰めだったから。でも、もし聞いてたら、飛んできてた。それくらい美々は大事な人。それは、わかってほしい」

「…心配かけてごめんなさい」

私の言葉に首をふるルイ。

…一緒に寝たことなんて、口が裂けても言えないけど。

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