溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
「…美々」
「…何ですか?」

ジッと見つめられ、タジタジになる。

「…他に何か、私に言うことは?」
「…へ?…何を?」

「…目が泳いでるよ」

…洞察力が凄すぎる。

「…一晩中…傍に居てくれました」
「…それだけ?」

絶対言えない。言ったら嫌われる。別れるって言い出すに違いない。

「…はぃ」

しりすぼみになりながら、そう答えるしかなかった。

「…そう。美々がそう言うなら…病み上がりで、どうかと思ったんだけど、もう少し、美々と一緒に居たいんだけど」

「…あ、どうぞ、早く中に入ってもらえば良かったですね」

話が代わったことに安堵しながら、そそくさと中に入って行く。それに続いて、ルイも入ってきた。

お茶をいれ、テーブルの上に置き、ルイの向かい側に座る。と。

ルイが私に手招きする。

おずおずと、ルイの横に行くと、再びその腕に包み込まれた。

「…もう、熱は下がってるみたいだね」
「…沢山寝て、薬も飲んだので」

「…一晩中一緒に居るのは、私の役目なのに」
「…ごめんなさい」

「…仕方ないよね、美々は熱があったんだから」
「…」

「…今晩は、私が美々と一緒に居たいんだけど…一緒にここで寝ても?心配しなくても、なにもしないから。一緒にいられるだけでいい「…ダメ!ダメです!このお布団には寝かせられません」

言い終わらないうちに言葉を被せた私を見て、ルイは驚いたように私を見た。



「…楓さんが、そこで寝たんで」


…わ、…やっぱり怒ってる。

…あれ?…何故か微笑んでる。

でも、その微笑みが、逆に怖い。
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