溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
急に立ち上がったルイが、私を抱き上げた。

私は驚いて悲鳴にも似た声をあげる。

「…ひゃあ!な、何するんですか?」
「…」

ルイは何も言わない。やっぱり怒ってる。

ベッドに下ろされた私の上に、ルイが覆い被さった。

心臓が飛び出てくるんじゃないかと思うほど、心音が早くなる。

「…ルイ…さん?」
「…一緒に寝ただけ?」

「…あ、当たり前です!熱にうなされてたんですから。私は寝てて、起きたときには、楓さんが横で寝てて驚いて」

慌てて説明していると、ルイが私の唇を自分の唇で塞いだ。

ルイの唇は、少しずつ下に。

首筋迄下りた瞬間、鈍い痛みが走った。

涙目で、ルイを見ると、ルイが私を見下ろした。

「…私以外の男に隙を見せたお仕置き」

「…」

私は初めての経験に言葉もでない。

ただ、涙目で、ルイを見ることしかできない。

「…もう、三枝さんと、二人きりにならないで」
「…ぇ」

「…彼は、美々のことが」
「…ごめ、なさ」

ポロポロと涙が頬を伝う。

ルイは困ったような顔をしつつ、私の涙を拭った。

「…ゴメン、泣かせるつもりはなかったのに。でも、美々が他の男のものになるなんてイヤだから」

そう言って、私をぎゅっと抱き締めた。

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