溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
「…美々、仕事は終わったか?」
「…はい、終わりました。どうしたんですか?」

シェフの問いかけに、そう返すと、シェフは何も言わず、ただ、こっちに来るよう手招きされて、私はシェフの後について、事務所に入った。

事務スタッフも、ホールスタッフも、厨房のスタッフも、全員帰っていて、事務所には、私とシェフの二人きり。

来客用のソファーに座らされ、シェフは反対側の椅子に座った。

「…美々」

何か言いかけたシェフを見て、テレビで報道されたことについて、話したいのだろうと、直ぐにわかった。

「…シェフ、何が言いたいのか分かりました。朝の、ルイさんの報道についてですよね?」

そう言って、苦笑いした。

「…大丈夫なのか?ルイとは、話できたのか?」

シェフの言葉に首をふる。

「…きっと、報道の事で対応に忙しいだろうから、私からは、メールも、電話もしてません」

「…美々」

「…心配かけてしまってすみません」
「…美々が、謝ることじゃないだろ?あれは、ルイが一方的に悪い。本当じゃないとしても、ルイには、美々という大事な彼女がいるのに」

「…ありがとうございます。私は大丈夫です。私は、ルイさんを信じてますから。だから、ルイさんから連絡が来るまで、静かに待ってます」

「…そうか、美々がそう言うなら、何も言わない。でも、何もかも独りで悩むなよ。美々には、私がいる。何かあれば相談に乗るから」

「…はい、頼りにしてます」

そう言って笑顔で頭を下げると、事務所を出て、帰り支度をすると、外に出た。

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