溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
…それからというもの、ルイは、毎日のように、RoseJardinのシェフの元に通った。

門前払いを受けても、それでもルイは諦めなかった。

ルイのひた向きな気持ちに、心苦しくもなったが、シェフはそれでも、頑なに、美々の居場所を教えようとはしなかった。

傷ついた美々を毎日のように見ていたシェフにとって、ルイに美々を任せてもいいのか、自信がなかった。

このまま離れて、楓と生きていく道を選んだ方が、美々は幸せなんじゃないかと、思えてならなかったから。

…雨の日も。

…風の日も。

…雪の日も。

どんなに忙しくても、毎日のようにルイは通い続けた。

…。

そんな日が一年以上続いた。

「…シェフ」

今夜もまた、仕事に迷惑にならない時間帯にシェフの前に現れたルイ。

「…諦めの悪い男だな」

背を向けたまま、シェフはルイに冷たい言葉を放った。

それでもルイは、引きさがならい。

「…どうしても、もう一度、美々に会いたいんです。想いを告げたいんです。彼女に全否定されてもいい。罵られてもいい。もう一度だけ、私にチャンスをください」

そう言って、ルイは深々と頭を下げる。

…手を動かしていたシェフの手が止まった。

ルイはずっと頭を下げ続けている。

「…美々が、会うことすら拒んだらどうする?」
「…」

「…ルイ、お前と会わなくなって、一年が過ぎた。傷ついた美々が、お前に会いたいと思うか?」

…ルイはゆっくりと頭をあげた。


「…美々が、会いたくないと言うなら、その時は…諦めます」


そう言うと、ルイは何かを決意したような目をした。


シェフはため息をつき、意を決して言葉を放った。
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