溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
「…お客様」
「…ルイ」

「…え?」
「…私の下の名前です。そう呼んでください」

私は相変わらず困惑しつつ、その名を呼んだ。

「…ルイさん…ルイさんは、外国の方ですか?青い目が、とてもきれい」

私の質問にまたクスッと笑って。

「…フランス人の父と、日本人の母の間に生まれました。ハーフですよ。…覚えてはいない、ですね」

最後の方は声が小さく聞き取れなかった。

「…美々ちゃんは、どうしてパティシエに?」

ルイの質問に答えていく。

パティシエだった父の影響。

大きくなったら、父のようなみんなを幸せにするパティシエになりたくて。

いつの間にか、庭園の真ん中にある噴水まで来ていた。

ルイは私の方を向き、両手をとると、真剣な眼差しで私を見つめた。

「…美々」
「…ぇ?…はい」


そんなに見つめないでほしい。

いたたまれなくて、視線を逸らそうとしたが。

「…目を逸らさないで」
「…」

みるみる紅くなる顔。緊張を隠せない。








「…私と結婚してください」







突然の見ず知らずの人からのプロポーズに、私はただただ目を見開いた。
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