素敵な王子様の育てかた。

朝食を摂り終え、しばし休憩した後、これからの行動について王子と相談する。

さすがにいきなり外に出るのも刺激が強すぎるだろうと、今日は部屋のベランダに出ることになった。

ベランダといっても、テーブルと椅子が楽々置けてしまうほどに広い。
日当たりはあまりよろしくはないが、直接日光があたるよりかは程よい暖かさで、逆に過ごしやすいだろう。

早速私はベランダに丸テーブルと椅子を設置し、そこでお茶を飲みながら外の感覚を掴んでもらおうと考えた。

「では、王子。用意が全て整いましたので、こちらへ」

「……ああ」

ベランダへ出る扉を開け、外に出るよう促す。
王子はごくりと息を呑んで、恐る恐る一歩を踏み出した。

柔らかな風が、時折通り抜ける。

木々たちは天の光を受けて、鮮やかな緑の色をより濃くさせ、鳥がまるで歌うようにさえずって、微かに子供の笑い声も聞こえている。

穏やかな日常。

こんな平和な音だけが聞こえるのも、現国王の統治力ゆえのものなのだ。

「ああ、気持ちいいな」
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