素敵な王子様の育てかた。
しばし風を感じて、その後発した王子の言葉。
もう少し抵抗があるのかと思いきや、意外と簡単に受け入れられたようだ。
「王子、お茶が入りましたよ」
立つ王子に、席に座るよう声をかける。
テーブルに置かれたカップからは湯気が漂い、ゆったりとした風に沿って横に流れていた。
王子は椅子に腰掛け、ふう、と息を吐きながら青い空を眺めた。
「こんなに空は青くて、高いものだったんだな。いつも部屋の天井ばかり見ていたから忘れていたよ」
「鮮やかでなんの曇りもない空は、まるで宝石のように美しいですわね」
そして無言になる。
王子の前髪がサラサラと風で揺れ、細目で眺めるその姿に、無意識に見惚れてしまった。
「……どうした?ララ」
そんな私の視線に王子は気づき、声を掛ける。
名前を呼ばれ、我に返った。
「えっ?あ、あの」
「俺を見てたよね。なにか顔についてる?」
「いえ、そんなことはっ」
「じゃあ、見惚れてでもいた?」