素敵な王子様の育てかた。


――そんな感じで、5日ほど経つ。

朝食を摂り終え王子が一息ついている中、私は部屋の掃除をしていると、王子が声をかけた。

「今日は裏庭に出たい。いいかな?」

自分からまさか外に出たいと言い出すとは思わなかったし、しかも裏庭とは!

表庭と違って人はあまり訪れる場所ではないものの、そこに至るまで部屋を出て城の中を歩かねばならず、必ず誰かしらと会うことになる。

徐々にゆっくりと慣れていって欲しいとこちらが慎重になっていたが、王子のまさかの言葉に私は驚きを隠せなかった。

しかし自ら出る気になったのだ。
その前向きな気持ちを無駄にはできない。

「え、ええ!構いませんわ!では今すぐに準備して参ります、お待ちくださいませ!」


掃除もそこそこに、外へ出るための準備をする。

護衛のつけるように廊下で見張りをしていた兵士に頼んだ。
その話を聞いた兵士は目を丸くしてえらく驚いていた。

無理もない、あの王子が部屋を出ると言うのだから。

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