素敵な王子様の育てかた。

「ま、まさかそんなこと……!本当なのですか!?」

「そのまさかなのです。早急に用立てて頂きたいの、王子の気持ちが萎える前に」

「か、かしこまりましたっ!士長に報告の上、兵士を向かわせます!」

兵士は慌てながら、士長の元へ向かう。

その間に外出用の外陰を用意して、王子に着せる。
いくら気候がいいとはいえ、日陰は肌寒い。風邪など引かれては困るから。

15分ほどで護衛の兵士が2名、部屋の前にやってくる。

兵士たちはまだ信じられないといった面持ちで立っていた。
が、部屋の扉が開かれ王子が姿を現したとき、兵士たちは一瞬驚いたような表情をし、すぐさま背筋をピンと伸ばす。

「わざわざすまないね、俺のわがままに」

「い、いえっ!この命を賭けてでも、精一杯お守り致しますっ!」

「裏庭に出るだけなのに大袈裟な。でもありがとう、よろしく頼む」

王子はそう言って軽く笑う。
そんな表情を見たのも初めてだったのか、兵士たちはまた驚いたような顔を浮かべた。


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