素敵な王子様の育てかた。
「そんなことはございません。どれだけ常に私が近くにいるとお思いですか?そんなにリフィト王子とのお茶会が嫌なのですか?」
「いや、別に嫌と言うわけじゃないんだ」
王子は横に首を振り、そして大きなため息をついた。
「……まいったな、ララの言う通りだよ。会うことが不安なんだ。これまでどれだけ迷惑を掛けてきたか自覚しているから、どんな罵声を浴びせられるのかとね。俺はそれを受け止める覚悟がまだできていなくてね」
「罵声、ですか」
「リフィトが俺に会いたいのも、きっと今までの恨みつらみをぶつけたいからなんだろうと思ってね。俺のせいでリフィトの自由はないに等しいものだろうから」
まるでそう言われるのが決定事項のように、王子は自嘲気味に語るが、……果たしてそうだろうか。
セリスとのこれまでのやり取りを思い浮かべてみても、リフィト王子がそんな状態で王子と会いたいと言っていたとは見えなかった。
もし仮にそうだったとしたら、セリスの態度はもう少し張り詰めたものになっていただろが、実際は終始穏やかな形で事が進んでいたように思う。