素敵な王子様の育てかた。
城の中にいる者たちはみな、この日が特別な日であることを知っている。
ライト王子とリフィト王子が面と向かって顔を合わせるのは、聞いたところによると約7年ぶりなのだという。
それまでふたりが顔を合わせたのを見た者は、誰もいない。
始めはどうにかして会おうと試みていたようだが、一向に開かれない扉にリフィト王子が根負けしたようだ。
どうしても伝えねばならない連絡は、同じ屋根の下にいるにも関わらず、手紙でやり取りをしていたとのこと。
……といっても、ライト王子からの返信はない。
リフィト王子からの一方的な報告になっていたそうだが。
それでもリフィト王子はとても優秀なお方であるから、ライト王子の分までしっかりと公務をこなしていた。
だがライト王子が復帰することによって、さらにより良い公務をお互いができるようになり、それは国の更なる繁栄と安定にも通ずると周りは考えている。
そのきっかけが今日になるかもしれない。
色々な意味を含んだ、記念すべき日。
だから周りは期待を込めて、通り過ぎる王子に深々と頭を下げた。