素敵な王子様の育てかた。


リフィト王子はすでにバルコニーにいて、用意された席に座り庭を眺めていた。

私たちが来た気配を感じたのか、リフィト王子はセリスに声を掛けられる前にこちらを振り向く。


「お待たせいたしました。遅くなり申し訳ございません、リフィト王子」

王子が口を開く前に、私が先にそうリフィト王子に告げ頭を下げる。
そしてバルコニーの端で、茶と菓子を出すための準備をしていたセリスの元に移動し、手伝う。

その間に、兄弟の会話はぎこちなくとも始まった。


「久しぶりだね、兄さん」

「あ、……ああ、本当に久しぶりだな、リフィト。見ない間に随分と凛々しくなった」

「兄さんも、前に見たときより落ち着いたように思うよ」

「うん、まあそれは。……長らく閉じこもっていたからかな」


湯気の立つカップをそれぞれの前に置き、真ん中には何種類かの焼き菓子を乗せた皿を置いて、話の邪魔にならないよう軽く礼をし、またバルコニーの端で待機した。

しかし端といっても、それほど距離を置いた場所にいるわけではないので、王子たちの会話はなるべく聞かないようにしていても自然と耳に入ってしまう。


「今日はその、……いい天気だな」

「そうだね」

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