素敵な王子様の育てかた。
王子はなんとか自分から話をしようと試みているようだが、どうも続けて話題が出てこないらしく、口篭もってしまった。
どうしようかと毛先をいじりながら俯きがちの王子に、リフィト王子がたまらず話を切り出す。
「けれど良かった、兄さんがまた外に出て来れるようになって。とても心配していたんだ、このまま部屋から出て来なかったらどうしようかって」
その言葉に王子の手がピタリと止み、顔をリフィト王子へ向ける。
「……長々と部屋に篭り、迷惑をかけてすまなかった。特にリフィトには申し訳ないと思っている。俺の分の公務まで引き受けてこなしてくれていたんだよな」
「別に謝らなくてもいいよ、兄さん。僕はそれほど苦だと思ったことはなかったから。それよりも兄さんのことが気がかりで仕方なかった。どうして部屋に閉じこもることになったの?僕なんかより責任感もあって、聡明な人だったのに」
「……いや、どれもすべてリフィトに劣っていると思うよ。でなければ部屋に篭りなんてしないだろう?俺は自信がなかったんだ。リフィトが次期国王であれば、よりこの国は良いものとなると考えていて、俺が役に立たなければ、いずれ次期国王の肩書も外れると考えていたんだ」
王子はそこまで言い終えると、前に置かれたカップに手を伸ばした。
真っ直ぐ上に伸びた湯気が、ゆらりと横に逸れる。
「リフィトは国王になりたいと思ったことはあるか?」