素敵な王子様の育てかた。
王子たちの会話が続く中、セリスから腕をトントンと軽く叩かれ、耳打ちをされる。
「ララ。お湯が冷めてきたようなの。申し訳ないんだけど好感してきてもらえるかしら」
「……わかったわ、行ってくるわね」
正直、話のいいところで!と思ったのはここだけの話。
けれど、立場として王子たちの会話を一言一句聞いているわけにはいかない。
私は冷めた湯の入ったポットを手に持ち、バルコニーを後にした。
大広間を抜け、廊下へと出る。
そこには王妃様が、うろうろと同じ場所を繰り返し歩いていた。
まさかそこに王妃様がいるとは思わず、驚いてその場で立ち止まってしまう。
そんな私に気づいた王妃様は、「あっ!」と声を上げるなり、私の元へと駆け寄ってきた。
「ララ、今まさにふたりが会ってお話をしているところよね!?どうなの?様子は」
「え、ええ。とても和やかに進んでおります。でもなぜここに王妃様が?」
「居ても立っても居られなくてきたのだけど、邪魔しちゃいけないと、入るのを躊躇ってここにいたのよ。もしララとセリスのどちらかでも出てきたら様子だけを伺おうと思って。ああ、でも良かったわ。それなりに上手くやれているのね?」
「はい。ライト王子も初めは戸惑っていらっしゃったようですが、今はしっかりと受け答えされておりますわ」
「そうなのね……」