素敵な王子様の育てかた。
その力強さ……、それが王子の決意を表していた。
私の胸はまたズキリと痛くなったが、しかしそれが王子の使命でもあるのだから、自分の気持ちを押し込めてでも、歓迎しなければならない。
とても辛いことだけれど、私もまた受け入れなければならないのだ。
――それが、私の運命でもあるのだから。
「……よい、判断でございます。王子」
無理して笑みを作り、王子に見せる。
本当は笑いたくなんてなかった。
心の底から喜ぶことなんてできなかった。
でも王子の未来のために、嘘をつくのは当たり前のこと。
王子は眉尻を落とし、少し悲し気な笑みを作って私に返した。
やがてまた、猛烈な睡魔が私を襲ってくる。
これ以上、辛い思いをしないようにと言わんばかりに、急激に。
あれだけ冷たかった王子の手は、今ではもう心地よいほどに温かく、それが余計、私の睡魔を増長させた。
……悲しいけれど、今とても幸せ。
だって、王子の温もりを感じられて眠ることができるから。
お願い、今だけもう少し寝かせて。
この心地よい温かさを、王子の温もりを感じて眠りたいの。
ごめんなさい、王子。
もう少しだけ……。
私の名を呼ぶ王子の声が、どんどんと遠ざかっていく。
そして糸がぷつん、と切れるように、私の意識は真っ暗になった。