素敵な王子様の育てかた。
8夜会の始まり、衝撃の始まり
突然の王妃様の話に、私は目を丸くしてしまった。
……夜会に?
私が参加する……?
いくら伯爵家の貴族とはいえ、侍女である以上夜会への参加はしないのが普通だ。
あくまで身の世話をし、送り出すこと。
夜会での出来事は、この城にいる限り、私たちお仕えの侍女には関係のないこととなっている。
だからそういった場所で着るような派手なドレスも持参していないし、着飾るような装飾品すら持ち合わせていない状態だ。
それなのに、参加しろだなんて。
「無理ですわ、王妃様。今の私には、夜会に参加できるようなものはなにも持ってきておりませんし、そもそも侍女という立場で参加なんて……」
私は必死に理由づけて断ろうとする。
だが、王妃様は諦めない。
「ドレスもアクセサリーもすべてこちらで用意するから、心配いらないわ。それに今回はララだけでなく、セリスも参加してもらう予定でいるから。それなら問題ないでしょう?侍女といったって、あなたはれっきとした伯爵令嬢なのだし。なんの問題もないわよ」
「でも……」
「なにより私がいいと言っているの。誰にも文句は言わせないわ。だから、ね?」
王妃様は前で手を合わせ、懇願するように畳みかけた。
この感じだと、どれだけ断っても諦めてはくれなさそうだ。