素敵な王子様の育てかた。
「初めまして。あなたのことは妹から手紙でよく聞いておりました。なんでもライト王子を更生させたとか。普段表舞台に出てこない王子が、初めてこの場に出て来られるとのことで、とても楽しみにしていたのですよ。いや、まだ若いというのにその手腕、この国を誇ると言っても過言じゃない!」
物凄い褒め言葉。
一体セリスはどれだけ誇大してジェクトへ報告していたのだろう。
手腕っていっても、特に変わったことをしたつもりはなく、ただ、根気強く王子と向き合おうとしただけのこと。
諦めようと思えば、すぐ諦められた。
でも、私にはその勇気が出ず、前を進むしかなかっただけのことで。
「い、いえ。更生なんて私にはそんな力はまったくありませんわ。すべて王子が努力された結果です。私はただひたすら自分の仕事をしていただけのことですので」
恐縮しながら、私はふたりに言葉を返す。
しかしその私の返答に、セリスは少し不満そうな表情を浮かべた。
「でもその結果で今があるんじゃなくて?謙遜する必要はないわ、あなたの力があったからこそなのよ。だから胸を張って堂々とするべきよ」
「ええ、セリスの言う通り。もっと自信を持っていいと思いますよ」