素敵な王子様の育てかた。
畳みかけるように、私に投げかけられた言葉。


その言葉が胸に染みた。


確かに特別なことをしていたわけじゃない。
でも、私なりの努力はたくさんあった。

どうしたら王子と会えるか。
どうしたら王子と話せるか。

そしてどうしたら王子が変わってくれるか。

王子の目が覚めるまで、ずっと頭の中で考えあぐね試行錯誤してきた。

だから王子が変わりたいと言ってきた時には、とても嬉しくて……。


でもそんなやりとりは、周りには知られていない。
ここに至るまでの攻防は、私以外知る由もない。

分かるのは結果のみだ。


けれど、セリスはその私の努力に気づいてくれていた。
ここまで来るのにどれだけ大変だったかを、分かってくれていた。

それがとても嬉しく、胸が熱くなる。


「そのお言葉、とても光栄です、……ありがとうございます」


私は最大の感謝を込め、ふたりに深く礼をする。

セリスは「そんなに改まる必要なんてないわ!」と頭を上げるように促したが、これが頭を下げずにいられるだろうか。

私の努力が認められたこと。
ふたりの言葉に、報われた気がした。

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