素敵な王子様の育てかた。


賑やかだった大広間の中が突然静かになる。
参加者たちはみな一点の方向へ顔を向けた。

私たちも周りの参加者と同様に向ける。

一番奥、玉座の置かれた一段高くなった場所に鎧を纏った騎士たちが数名入場し、それぞれ決められた位置に立った。


それは国王一家が入場することを意味している。

周りはいよいよ王子がこの夜会の会場で姿を見せるのだと、妙な期待感を含ませていた。



無理もない、王子が夜会に参加するのは初めてのこと。
中には王子の顔すら見たことのない貴族もいるくらいだ。

会場内、固唾をのんでその時が来るのを待っている。



初めに国王夫妻が入場する。

やはり国王様の威厳は凄まじいものがあり、登場しただけで会場内の空気を一変させ、隣の王妃様はとても美しく、
思わずため息が零れるほどであった。

続いてリフィト王子。相変わらずの爽やかな笑顔での登場は、未婚の令嬢ならず、夫人と呼ばれる方たちをも魅了するほどの力を持っている。


そして少し間を空けて、ライト王子が姿を現した。

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