素敵な王子様の育てかた。

周りは私たちを囲むようにして、それからの行方を固唾を呑んで見守っている。
いつの間にか流れていた音楽も止み、異様な静けさが辺りを包んでいた。

そんな空気に耐えられなくなったのか、王子は私の手を引くと、突然歩き出す。

「出よう。こんなところにもう用はない」

「えっ!?」

騒然とする人々をよそに私たちは大広間から去る。

その際に、壇上にいた国王様と王妃様の姿が目に映ったのだが、王妃様は呆然とした表情で私たちを見ていた。

……ああやっぱり。
当たり前よね、まさか王子がこんな行動に出るだなんて、思ってもみなかっただろうから。

王妃様が選んだ候補の女性を差し置いて、王子は私を選んだ。
その行為は王妃様の顔に泥を塗るようなものだもの。


今後のことを考えると、恐ろしくて身体が震える。
どうか私の家族にまで迷惑がかかりませんようにと祈るばかりだった。


王子はそのまま自分の部屋へ私を連れて行く。

部屋に戻り、誰も部屋に入らないようにと内側から鍵をかけ、そこでようやく私の手を離した。

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