素敵な王子様の育てかた。
部屋の中は、もちろん私と王子のふたりきり。
慣れっこなはずなのに、今日のことがあって妙に意識してしまう。
王子は肩から下げていたサッシュを取り外すと、ソファーに置く。
そしてしっかりと止めていた詰襟の金具を外し、中に着ていた白いシャツの襟が見えた。
ちょっとした着崩しなのだがやけに色っぽくて、恥ずかしくて目線をずらす。
「どうした?ララ」
「あ、いえ。あの……」
故意に視線を逸らしたことに気づいた王子が問うが、理由を言えずに口篭もった。
「……見惚れていたんだろう?」
「……っ」
「もう意地を張らなくていいよ。素直になって」
そう言うと王子は私を引き寄せ、その胸に収めた。
ドクドクと激しい鼓動と、服越しでも分かるほどの熱い体温が伝わる。
そして仄かな王子の香りも。
「ようやくふたりになれた。ずっと話したかったのに、なかなか人が切れなくてね。しかも気づけはララはリフィトとふたりで仲良さげにしているし。もう居ても立ってもいられなくてさ」
「いえあの、あれはっ」
「言いたいことは分かってる。リフィトが強引にダンスに誘ったんだろう?ララの困惑している表情を見たらすぐにわかったよ。けれど、それでもララが俺以外の男に触られているのが許せなかったんだ。それで……」