素敵な王子様の育てかた。
……いよいよね。
なるべく冷静にいかなきゃ。


ドクドクと早鐘を打つ部分の布をグッと掴み、深く呼吸をする。


それから馬車はゆっくりと動き始めた。


――向かう先にはいったいなにが待ち受けているのだろう。

不安は募る。

けれど逃げることはできない。
その不安に打ち勝たなきゃいけない。

そのためには、自分自身がしっかりとしていなければ。


ガラガラと車輪の回る音を聴きながら、気持ちを落ち着かすよう、ゆっくりと目を閉じた。


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