素敵な王子様の育てかた。
10素敵な私の王子様
それから10日後、私の両親を城へ招いて、正式に王子の婚約者としての儀式が執り行われた。
儀式と行ってもそれほどかしこまったものではなく、終始穏やかに進められたわけだが。
父は私が侍女となって一ヶ月ほど経ってから、私が王子の結婚相手に決まったと王妃様の書簡で知らされたらしい。
それを読んだ父は腰を抜かし、母は驚きのあまりその日熱を出して寝込んだそうだが、結婚自体は祝福してくれている。
けれどいつ私がヘマしないか、それだけが不安なんだそう。
貴族の世界は華やかではあるが、裏はドロドロとしていて、思う以上に汚い世界だと父は言った。
私のほんの間違いが、王子の未来をも奪ってしまうことになりかねない。
だから、私が王子の妻……、つまり次の王妃になると決意した以上、より気を張って過ごしていかねばならないよ、と助言してくれた。
私はその父からの言葉を胸に刻む。
王子に悲しい思いはさせたくないから、足手まといにならないように、精一杯務めるつもり。
そう父に告げると、父は少しホッとしたような笑みを浮かべた。