素敵な王子様の育てかた。
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「……~はあ」
満足げなため息を吐きながら、本をぱたりと閉じる。
今日の物語も、とてもいいお話だったわ。
最初はどうなることかとハラハラしたけれど、幸せになれて良かった。
時間のある日は読書をする。
それは小さな頃からの日課だった。
ララ・ウェルバート。
ウェルバート伯爵家の次女で、今年18になったばかりの本好きの女。……それが私。
きっかけは、私が字を読めるようになった頃、与えてくれた一冊の本だった。
それは敵国に攫われたお姫様と、助けに行く王子様のお話。
昔、王子様とお姫様は将来の仲を約束した間柄だった。
しかしそれを良く思わない敵国の王が、姫を攫う。
攫われた姫を助けるため、王子様は愛馬である白馬に乗って先陣を切り、勇敢にも敵に立ち向かい、その王を倒す。
そして助け出した姫と結婚し、国は発展を遂げた……。
話の内容はとても簡単でお決まりの流れだが、それを読んだ私は、まるで雷に打たれたような衝撃を受けた。
作り話とはいえ、こんなにも素敵で素晴らしい男の人が存在するんだって、驚いたくらい。
興奮して、その日はなかなか眠れなかった記憶が今でも残っている。