素敵な王子様の育てかた。
待つこと、5分ほど。
前の扉がゆっくりと開き、人の気配を感じた。
その瞬間、私の背筋がピン、と真っ直ぐに伸びる。
「お待たせしてしまってごめんなさいね。はるばるこの城へ来てくれてありがとう、感謝するわ」
ニコリと微笑みながら話してやってくるのは、紛れもなく王妃様。
その姿は二年前となんら変わってはいなかった。
ダークブラウンの緩いウエーブかかった髪を後ろで纏め、くりっとした丸い瞳に、スッと伸びた鼻筋。
ぽってりとした唇は、薄いピンク色で艶やか。
とうに40歳を超えているにもかかわらず、肌は絹のように白く、ハリがあって皺もない。
さらに胸元が少し開いた紫色のドレスに身を包み、そのボディラインは子供を生んだとは思えないほどすらりとしていて美しい。
国王様が一目惚れしてしまうのも無理はない。
現に同性である私ですら見惚れてしまうほどなのだから。
「い、いえ王妃様!こ、このたびはわたくしめをお呼び頂いてっ」
「そんな堅苦しい挨拶はいらないのよ。まずは楽にして」
慌てた私の発した言葉は、挨拶にもならない酷いものだったが、王妃様は構わず私を気遣う言葉をかけてくれる。
王妃様の優しさに感動してしまう私。
「……って言っても楽になれないわよね、こんな場所じゃ。ちょっとついてきてくれるかしら?私の部屋に案内するわ」