素敵な王子様の育てかた。
「それでね、あれだけ毎回欠かさず私に手紙を送ってくれる。私は立場上、決まりきった返事しか送ることしかできなかったけれど、飽きずにいつもお手紙を書き続けてくれた。あなたにはそれだけの根気と情熱を持ち合わせているのだと確信したの。それで、あなたには申し訳ないのだけれど、どういった方なのか調べさせてもらって……」


そこで扉をノックする音が聞こえ、話が一時中断する。

頼んでいたお茶が運ばれ、カップが王妃様と私の前に置かれた。


白い湯気がゆっくりと上がって消えていく。

それと同時に甘酸っぱい香りが辺りを漂った。


「私の好きなお茶なの。遠慮せず飲んで?とても美味しいから」


王妃様はニコリと笑いながら、お茶を勧めてくれる。

そして優雅に、ひとくちお茶を含んだ。


こんな何気ない行動だって、普通なら見られない。

私たち一般の貴族の前では、常に微笑みを浮かべながら凛と立つ、王妃様でしかないから。


普段の王妃様を見られたことに感動を覚えつつ、私は勧められたお茶を口に運んだ。

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