素敵な王子様の育てかた。
一瞬しまった、と思ったのだが、新作が真っ先に読める特典は、なによりも代えがたい。

なによりもここに来た時点で、断ることなどできるわけもなく、あとは私の覚悟だけだったわけだし。


私がちょっと我慢すればいいだけよ。
そうすれば、私にとっての最高のご褒美が待っている!

王妃様は安心したように、ふう、と息を吐くと席を立った。


「じゃあ早速私の息子を紹介するわ。ついてきてくれるかしら?」


私は王妃様の後をついて、私のご主人様となるライト王子のいる場所まで行くこととなった。

長い廊下を歩き、城の一番端の部屋。
そこは少し薄暗い。

王妃様は部屋の前に立つと、扉を勢いよく叩く。


「ライト!いるんでしょう?出てきてちょうだい!」

口調も少し強め。
しかし扉の向こうからの反応はない。

王妃様は再度扉を叩く。

「いつまで寝ているの!さっさと出てくるのよ!大事な話があるんだから!!」

先ほどまでの王妃様はどこへやら。
声のトーンも低く、丁寧な言葉遣いもすっかり消えていた。

ここまで王妃様が叫ぶように呼び掛けても、中からの動きは聞き取れない。

本当に部屋の中にいるんだろうか?

「あ、あの王妃様?ライト様はご不在なのでは?」

「いいえ。いるのよ。あの子は部屋から出て来ること自体稀なんだから」

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