素敵な王子様の育てかた。
たしかにあのとき侍女はいらないと言っていたし、扉の向こうでの王妃様とのやり取りは聞こえていただろうし、本人がいらないと言っても、私が侍女になったことは王子も知っているはず。

それに過去の経験からいって、一切反応しないといった行動をすることで、今までの侍女は匙を投げて辞めていったのだろうから、今回も同じような行動で私を辞めさせようとしているのだろう。

正直、このまま毎日同じようなことが繰り返されるのなら、侍女をやる意味はない。

こんな無駄な時間を使うなら、もっと別なことに時間をあてるのが妥当だと言える。



ただ、これしきのことで諦めるような私じゃない。


私には王妃様の新作が待っているのよ!

こんなことで諦めるなんてもったいなさすぎる!





私はひとまず、休憩室に戻ることにした。


前に王妃様とここへ来たときに、ライト王子は『朝方に寝た』と言っていたし。

きっと今日も朝方に寝たに違いない。

もしかしたら無視しているのではなく、完全に熟睡していて気づいていないということも考えられる。


ならば少し待ってみよう。

時間を置いて、再度挑戦してみるのがいいかもしれないわ。

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