素敵な王子様の育てかた。
きっと今までの侍女なら、心が折れてしまっていただろう。

侍女とはいえ、みな貴族令嬢という肩書があったわけで、王子とは言えど自分をないがしろにされたという屈辱に耐えられなかったに違いない。

まるっきり無視される。

それは貴族の人間にとって、プライドを傷つける行為であることに間違いないのだから。


けれど私は妙に楽しんでいた。


だってこれって、まるでお話の世界みたいじゃない?


どう攻略していくか?

牙城を崩していくための作戦を練るなんて、普通に生活していたらそうあるもんじゃないわ!


「……ふむ」

壁に寄りかかると、顎に手をかけて考える。

いくら部屋の外からなかなか出てこないとはいえ、外部との接触を一切絶つことは難しい。

どこかでこの扉を開けるタイミングはあるはずだ。


その可能性があるのは……。

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