素敵な王子様の育てかた。

――そういえば。

と、あることに気づく。


食事の時間はどうしているのかしら?

聞くのを忘れていたわ。



部屋から出なくとも、食事は摂っているわよね?

どういうふうにしていたのだろう?


私は早速セリスに聞こうと向かう。


ちょうどセリスは、リフィト王子の洗濯物を持って洗濯場へと出向こうとしていたところだったようで、ばったりと廊下で出くわした。


「あ、ちょうどいいところにいたわ。聞きたいことがあって。ライト王子の食事っていつもどうしていたの?さすがにそのときは中へ入れてくれていたのかしら?」


「食事?あ、ああそうね、言い忘れていたわ。料理は毎食ワゴンに乗せて部屋の前に置いておくの。それでいい頃合いを見て戻れば、空いたお皿がワゴンに乗って置かれているから、それをまた調理場へと戻すって流れね。どんなに声をかけても出てこないものだから、仕方なくそうしているのだけれどね」


「そうなのね!ありがとう」


「今から食事なのね?ライト王子には会えたかしら?」


「まったくよ。いくら声をかけても反応はないわ。でもね、私、変にワクワクしているの。こうなったら意地でもあの扉を開けてみせるわ!」


「あはっ、おかしな人!でも、とても頼もしいわ!頑張ってね!」


そんなやり取りをして、セリスと別れた。

おかしな人。
たしかにね、自分でもそう思う。

でも簡単に諦めるのはなんとなく悔しくて。

ほら、ダメだって言われるほどやってしまいたくなる衝動ってあるじゃない?


そんな感覚に似ていると思う。

開けないからこそ開けてみたくなる。

それから先のことは……、まだなんにも考えていないんだけれど。
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